せすにっき

日記。2019年1月にはてなダイアリーから引っ越しました。2024年もそこそこ適当に生きたい。

自分の住んでる町内が地球の中心

学校の通学路に「エデン美容室」ってのがあった。もう30年ぐらい前の話ね。とっくに無くなった。で、俺にとってはエデンといったらその美容室だったわけだ。赤と青と白のぐるぐる飾りと時計がついた看板が店の軒先にくっついていて、それを見ながら帰路につくのが日課だった。そしてその看板の下半分に「エデン美容室」と書いてあった。だから俺の放課後はぽかんと口を開けて歩きながらエデンで時計を見て帰宅しておやつを食べるというのがお決まりだったし、誘われて友達の家にあがりこんでは当の友達をそっちのけにしてマンガを読み漁ったりママと呼ばれている友達のかーちゃんが手作りしたというシュークリームをうまうま食べたり、血統書の意味はよくわからんがふわふわしたきつね色のハタキみたいな室内犬と遊んでたりして、ああ、あたしゃここの子に生まれればよかったのになあと本気でため息をついたりして、そして夕方5時のチャイムが鳴って自分の本当の家に帰るときも、足取りが重くてもやっぱり口をぽかんと開けて、エデンの時計を見て足取りを早めるのだった。
だからある日「エデンの東」って映画のポスターがその美容院の近所に貼られていたのを見つけたときには、「この美容室超有名なんだなすげえええええええええええええええ!!!!!!!」って感動したのを覚えている。今思うとあれはリバイバル上映だったんだろうけど、まあそんなことは関係なく、エデンといったら美容室なんだよ俺は。後年その映画をテレビで見たんだけど、ストーリーは全然覚えてないな。結局今この歳になってもやっぱり、エデンといったら美容室のあの時計が真っ先に浮かんでくるの。どーすんだよ。