せすにっき

日記。2019年1月にはてなダイアリーから引っ越しました。2024年もそこそこ適当に生きたい。

もうすぐ読み終える

衣服で読み直す日本史―男装と王権 (朝日選書)

衣服で読み直す日本史―男装と王権 (朝日選書)

最初は、日本の衣服というのは割とユニセックスなものだったのだよ、というようなかんじの話だった。貫頭衣とか確かに性別によって分かれる前の素朴な形で、これがスカートかズボンか、と問われればまあ、スカートだよな。片足ずつ分かれた布地を身に着けるというのは確かに馬に乗る人たち向きなのかも。
章が進んで平安時代とかの、「よく泣く男たち」貴族の話になってくるとあるひとつの価値観が突出してくる。男といえどそのかれら自身を位置づける美の基準は「女の格好をしても違和感ナッシング!」というそのみやびやかさなり。「とりかへばや」や「源氏物語」によく現れているらしい。
このあたりまで「ふむふむ」と思いながらも読み進めていたのだけれども、その後いきなり、俺の中で今話題の持統天皇が登場したよ!百人一首の絵の中に、男装した持統天皇の姿が描かれたものがあったらしい。確かに十二単ではない。いやもともと小野小町だって十二単なんか着てなかったんだから持統天皇だって、ころもほすてふ〜とか書かれたかるたにあるような長ーい黒髪と一緒にあの重そうな服を引きずらせたようなカッコをしてたわけはないのだ。だけどなんで男装?と思うのだけど、どうやら浮世絵、というか大和絵の大家の人がイロエロと情報を仕入れて描いた持統天皇がそれだったらしいのだ。このへん筆者の発見、探索の足跡が生々しくたどれてまさに「筆が踊っている」ような文章でス・テ・キ。
ちなみにその絵で持統天皇がかぶっている冠について、その前のくだりでずいぶん詳しく細かく解説されているのだが、なんかどっかで見たような形の冠だなや〜と思っていたけどそうだよアレだよ。ゴダイゴ天皇の有名な肖像画に描かれているアレだよ。うおおおかっこいいい!
何の気なく読んでみた本なのだけど、持統天皇やら百人一首やら興味シンシンのキーワードがてんこもりの素敵な一冊だった。