せすにっき

日記。2019年1月にはてなダイアリーから引っ越しました。2024年もそこそこ適当に生きたい。

やっと後半

江戸かな古文書入門 (〈シリーズ〉日本人の手習い)

江戸かな古文書入門 (〈シリーズ〉日本人の手習い)

この前から読んでいる、変体仮名を覚えよう!な一冊。で、江戸時代の教科書みたいな本や都都逸を読むとこまであくせくしながら進んだら、中ほどに百人一首を使って変体仮名を読み取るという講があり、やった!これなら元歌を知っている分楽々読める!と喜んだのだが逆に元の読みを知っているだけに「わかったつもり、覚えたつもり」で通過してしまいそうになるということに気がついた。読み取るよりも先に歌が頭に浮かんでしまうので、本当にその文字を「読んでいる」ことにならないのだ。実際その前の都都逸の章を読んでいた時と、自分の気持ちの集中度が全然違う。まあ、みみずが縦に這っているようにしか見えなかったものがちゃんと文字として認識されるようになっただけ進歩はしているんだな、と思うことにして、次の章。
江戸時代には草双紙という読み物があって、絵がメインでその画面のあちこちに本文がうじゃうじゃと書かれている。今で言うマンガなのかなこれ。小説というには絵がでかでかすぎる。OL向けファッション誌とかで見かける、ストーリー仕立てのコーディネート記事みたいではある。おしろいの宣伝とかがさりげなく入ってるし。
で、ここでテキストとして使われている「大和仮名懸想文売」って話がまたおもしろいのよ。図版が載せられているのは後半部分だけなんだけど、文屋康秀の隠し子である阿漕の浦の鰯売りが京へ出て、自身の歌の才能と友人に助けられてなんやかんやで、ひとめ惚れした遊女と結ばれ立身出世もしてめでたしめでたし、って話らしい。ああ俺がまとめると面白みがなんもなくなるなあ。
ええとそれじゃ、見せ場のひとつを以下に。主人公の友、懸想文売りの頓助さんがその高級遊女に主人公猿源氏を引き合わせるために、猿源氏を大名だと偽ってみんなで遊郭に乗り込んだわけです。でめでたく男女が夜を迎えるわけだけども、したたかに酔っ払った猿源氏はついつい寝言で「鰯買わんかねー!!」と言ってしまって正体がバレそうになってピーンチ!!ってこれまた俺がまとめるとなんか緊張感ないな。とにかく、この章からテキストを声に出して読むことにしていた俺は猿源氏の寝言、「いせのくにあこぎがうらのさるげんじがいわしかうゑい」で思わず噴き出してしまった。学校でもこういうのをテキストにしてくれればよかったのになあ。