- 作者: 吉田豊
- 出版社/メーカー: 柏書房
- 発売日: 1995/03
- メディア: 単行本
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江戸時代には草双紙という読み物があって、絵がメインでその画面のあちこちに本文がうじゃうじゃと書かれている。今で言うマンガなのかなこれ。小説というには絵がでかでかすぎる。OL向けファッション誌とかで見かける、ストーリー仕立てのコーディネート記事みたいではある。おしろいの宣伝とかがさりげなく入ってるし。
で、ここでテキストとして使われている「大和仮名懸想文売」って話がまたおもしろいのよ。図版が載せられているのは後半部分だけなんだけど、文屋康秀の隠し子である阿漕の浦の鰯売りが京へ出て、自身の歌の才能と友人に助けられてなんやかんやで、ひとめ惚れした遊女と結ばれ立身出世もしてめでたしめでたし、って話らしい。ああ俺がまとめると面白みがなんもなくなるなあ。
ええとそれじゃ、見せ場のひとつを以下に。主人公の友、懸想文売りの頓助さんがその高級遊女に主人公猿源氏を引き合わせるために、猿源氏を大名だと偽ってみんなで遊郭に乗り込んだわけです。でめでたく男女が夜を迎えるわけだけども、したたかに酔っ払った猿源氏はついつい寝言で「鰯買わんかねー!!」と言ってしまって正体がバレそうになってピーンチ!!ってこれまた俺がまとめるとなんか緊張感ないな。とにかく、この章からテキストを声に出して読むことにしていた俺は猿源氏の寝言、「いせのくにあこぎがうらのさるげんじがいわしかうゑい」で思わず噴き出してしまった。学校でもこういうのをテキストにしてくれればよかったのになあ。