せすにっき

日記。2019年1月にはてなダイアリーから引っ越しました。2024年もそこそこ適当に生きたい。

読んでる

大化改新―六四五年六月の宮廷革命 (中公新書)

大化改新―六四五年六月の宮廷革命 (中公新書)

先に読んだ二冊の本よりもガチガチしたかんじだ。こういうのがガクジュツテキというのだろうか。書いた人の感情が今のところはあんまり伝わってこない、けれどもその代わりに「まず基本からおさらいしましょう」てなかんじに、改新より結構前の王権形成の流れのあたりからていねいに、無知な俺にぎっちりぎっちり解説してくれているような気がする。いま、ちょうど軽皇子(軽王子・孝徳天皇)黒幕説らしきものが出てきているとこ。
中臣鎌足がクーデターを計画するに当たって最初軽皇子のところへ行ってみたんだけども、軽皇子の軽薄とさえいえる喜びようにかえって興ざめした、なんてエピソードが日本書紀藤原氏の家伝にも記されているそうな。これは法隆寺本でも見かけたな。家伝だと「興ざめ」どころではなくはっきりと彼を見限った、というような記述らしい。しかし結局クーデターの後なんやかやで即位したのは軽皇子であったというところが面白い。このあたりの流れをどう読むか、というのが人それぞれなんだな、きっと。「鎌足にこんな評価をされた程度の人物であるから、クーデターの後に王位についても結局有能な中大兄皇子鎌足の傀儡となってしまうのであろう」という印象を受ける人もいれば「いやわざわざこんな風に書くなんて不自然だ、第一中臣氏と軽皇子には前々からつながりがあったのだ」と色々根拠を探し出していく人もいるのだな。