せすにっき

日記。2019年1月にはてなダイアリーから引っ越しました。2024年もそこそこ適当に生きたい。

厄年日記

ゆうべは人が馳走してくれるというので中華を食べに行った
その人が馴染みとしている店らしいのだが
確か月餅を買いに一階の土産物売場になら入ったことがある
入り口に笹が生えていてさすがパンダの国だと思った記憶がある
中に通されエレベーターで予約席へ向かう
なにこの中華料理屋
まわるテーブルじゃないじゃん
こんなの中華じゃねえ
とか騒いでいたら
この中華料理屋は給仕がつきっきりで料理を取り分けてくれるため
料理の入った大皿をテーブルに載せて皆に回す
という動作自体が不要である とほどなく判明
こんなの中華じゃねえ
と騒いだわれら貧乏人若干名の世間知らず度が
改めて浮き彫りとなった形である
セッティングされていた皿の上に
しわくちゃに丸まったナプキンが転がっていて
これはひどい と良く見ると
しわくちゃ ではなく 薔薇だか牡丹だかの形に
綺麗に形作られているのであった
これはひどい ではなく おれがひどい
そのナプキン花が置かれている皿をみんなで裏返してみると
ウェッジウッドとか書いてあって笑った
というかみんなで一斉に皿を裏返すという行為に出る
この集団の場違い度の高さに笑った
料理はすべてとても美味しかった
うまい北京ダックというものを本当に久々に食った
身の部分をカリリと揚げたものも食った
あまりの美味さに持ち帰り用に詰めてもらった
今宵はなんというしやわせな晩であろうと思った
鼻歌を歌いながら家路についた
俺、うちに帰ったら、持ち帰りダックとお気に入りの梅酒で
ひとり二次会を開催するんだ!
と そんなことを考えたのがいけなかったのだ
今思えばその時 うっかり何かのフラグを立ててしまったのだ
帰宅すると部屋の鍵が壊れていて入れない
寒空の下 震える指先で ボタンをいくら押しても電子キーが反応しない
この時間に管理人はおらず
片手に料理店の土産をぶらさげた酩酊状態のままで
管理会社の緊急ダイヤルに電話するのもためらわれ
近所に駆け込める友人はおらず
かといってこのまま部屋の前で一夜を明かせば確実に風邪っぴき
この深刻な状況にもかかわらず眠気だけはしっかり襲ってきて
なけなしの思考力を小さな脳から刻々と奪っていく
切羽詰まって駅へと駆け戻るも
そこらに終夜営業のファストフード店や居酒屋があるのに気づかず
終電間際の列車でわざわざ24時間営業のネカフェのある街へ出て
ナイトパックの料金を払いブースに潜り込み
ビニールのいやな音を立てる椅子をリクライニングして
自分を励まそうと一行日記を書いて自分で読み返していたら
かえって情けなさがしんしんと身にしみてきたので
脱いだコートを頭からかぶって寝た
今朝は半笑いを浮かべて抜け殻のようにふらふら歩きながら
部屋の前まで戻ってきて管理会社に電話をかけ
やっとのことで鍵を開けてもらい帰宅
荷物を置いたとたん疲れがどっと出る
今日の自分は一日 使い物になるまい
洗濯をしたあと 腹が減ってきたので
とりあえず昨晩の土産パックを開けて
北京ダックの身の唐揚げを熱い煎茶とともに平らげた
冷めているけどゆうべの5倍ぐらい美味い
祈りながら食べた
明日はいいことありますように
明日はいいことありますように