この日記にも書いたのだが、ちょっと前にこれを入手して読んだ。
- 作者: 夏目漱石
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2002/09
- メディア: 文庫
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漱石が修善寺へ移る頃には既にその予兆のごとく雨が降り出していた。その後何日か悪天が続き、そのうちに近辺の川の増水を聞き、さらに東京から来るはずの郵便、新聞も遅れるようになり、漱石はやがて妻子の居る東の地の水禍について知ることとなった。明治43年8月、関東大洪水。下女から聞く伊豆の出水の話に世間から途絶し療養している自分の身を漠然と楽しむような気持ちでいた漱石へ徐々に不安が忍び寄り、それは病状にも少なからず影響を与えていったのではないかと思う。
- 作者: 関川夏央
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2004/02
- メディア: 文庫
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しかしいちばん印象に残ったのは『文庫版のための「あとがき」』だった。と書くと本編はどうなのよ、と怒られてしまいそうだが、このエッセー集が世に出てしばらく時を経たのちの文庫化にあたって、「死んだ人を好む」と自らを称する著者自身が「私の好きなことを苦しみながらたのしく書いた」と振り返り、書名をあえて「豪雨の前兆」としたことに触れている。
雨に先立って風が吹く。草原が揺れる。遠い雷鳴が聞こえる。天から地へと稲妻が走る。ティンパニーが響きわたる。
不穏である。心が波立つ。
私は、この不穏さ、心の波立ちが好きなのである。
という一節にはちょっと唸ってしまうところがあって、またちょうどそれらに散らばっていた単語から個人的に思い出すところもあって、雨の葬式の思い出なんかをこないだ日記に書いてみたりもした。
しっかし漱石は病気が軽快してきっと東京に帰ってきてからも、激しい雨の日なんかには修善寺でのことをまざまざと思い出したりしたんだろうなあ。
- 作者: 夏目房之介
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/04
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公園のベンチでこの本の最後の方、英国ロケでの猫話を読んでいるときにとてもタイミングよく野良猫が寄ってきて俺の膝まで乗っかってきたので笑ってしまった。そのうちそのまま丸くなって寝息を立ててしまったが、もしかしてもしかしたら、一緒に読みたかったのかもしれない。やっぱりたぶん夏目家の人の著作は猫界ではとても有名なのにちがいない。
おまけに巻末の解説を上記関川氏が書かれていたのでちょい驚いた。
積読がたまってるし「国家の罠」は120ページ読んだところで止まってるけども、次の次あたりに漱石の「硝子戸の中」を読んでみようかな。