せすにっき

日記。2019年1月にはてなダイアリーから引っ越しました。2024年もそこそこ適当に生きたい。

ちがーもん俺貞子じゃないもんうわあああん

日の届かない涸れ井戸の底に立ったままじっと自分の足を見ている。親指の爪が伸びてきた。霜が降りたような淡いつやを気に入っているエナメルの赤も、塗ってから10日を過ぎてもうぼろぼろにはがれ、見ようによってはにじんだ血にも見える。大体この色は好きな色ではあっても、似合う色ではない。
このまま一生自分の足の爪の伸び具合だけを見て過ごせばいいと思っていた。疲れたら座り込んでそのまま朽ちてしまえばいい。だから、井戸の蓋がもうとっくに取り払われて高い空がのぞいているのに、ずっとうつむいて薄笑いを浮かべたまま上など見ようとしなかった。誰かが勘違いして井戸の中に泥を投げ入れるまで。
そして泥まみれになってみるとはじめて漠然と心細くなって、差し込む日の光に必死にすがりつきたい気持ちになり、手のひらをかざしてそっと仰向いてみたりもする。ちょっとだけ。そして、まぶしいのでまだ何も見えない。これからも見えないかもしれない。