- 作者: アントン・パーヴロヴィチチェーホフ,原卓也
- 出版社/メーカー: 福武書店
- 発売日: 1988/11
- メディア: 文庫
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今回の読み返しでものすごく苦しかったのは、冒頭の「ともしび」という作品。登場人物のうち一人が異常によくしゃべる男で、しかも男のその語りがこの物語の芯なのでうかうか読み飛ばすこともできないところと、ひとつの文章がやたら「、」で細かく区切られているところがつらかった。
十年前の自分がこの作品をどのようにして読んでいたのか既に記憶に残ってはいないが、今の自分には文章の句読点に合わせて息継ぎをする癖があって、ひとつの文章にあまりに多く読点が入っていると、自分の目がそこにたどりつくたびに無意識に浅い呼吸を繰り返し、読み終える頃にはすっかり頭がぼーっとしてしまっているのだった。「ともしび」や読みたかった「六号室」はおさらいできたものの結局「恋について」から先へ進まず最後まで読むのはやめた。続きはまた、いつの日か。
この本に限らず、人の書いた文章を読んでいると、読点の入れ方にもずいぶんそれぞれの個性が出るものだなと思う。