今年は自分にしてはずいぶんたくさん読んだなあ。たぶん近所にブックオフができたからだ。読み終えたものをどんどん気軽に売れるようになったから。そして、たくさん読んだのになぜベスト10とかじゃないのかというと、読んだものをどんどん忘れていってしまうからなのだ。
その1
- 作者: 酒神敬
- 出版社/メーカー: 文芸社
- 発売日: 2002/05
- メディア: 単行本
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時は鎌倉時代にさしかかるころ。曾我兄弟の仇討ちといえば、どこかで学んだり聞いたりした記憶のある人が多いだろう。彼らの後見人を引き受けた畠山重忠という武士の眼を通し、幼くして父を殺された兄弟がその敵を討つまでの時の流れを描いた物語。時代小説なのに、出てくる人物が妙にリアルで人間っぽくて面白かった。今まで読んだことのあるものとはひと味違った。重忠が義経に初めて会ったときの第一印象とか。きっと人間ってのは今も昔もちっとも変わらなくて、たとえば「あのおっさんウゼー」とか「あの若造ナマイキだ」とか「あいつほんとに空気読めねえよな」とか、そういう会話は縄文時代からあったに違いないのだ。そういうのが実感できただけでも読んだかいがあったと思った。あと、衣笠城攻略のエピソードとか。小さな行き違いで兵が動いてしまい、起こさなくてもいい戦で、重忠の祖父が落命するわけなのですが、ああいう「あっ…」っていうアクションが歴史的出来事の引き金を引いてしまうというのがドラマティックでよいなあ。そして、その場面の描写もとても迫力があって、よかったです。
その2
- 作者: 篠田節子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2002/10
- メディア: 文庫
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で、この3つの大作の中で、自分としては最初ぶっちぎりで「弥勒」が最高峰にちげえねえ!と思っていた。しかし今になってみると、いや確かに話のスケールでも、万人を考えさせるだろうテーマの重さでも「弥勒」は抜きん出ていて完成度が高いと思うんだけども、でも、でも、俺はたぶん「ゴサインタン」が一番好きなのだ。俺はとしこ神に首ったけなのかもしれない。としこー。としこー。
その3
- 作者: 福井晴敏
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/07/16
- メディア: 文庫
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