せすにっき

日記。2019年1月にはてなダイアリーから引っ越しました。2024年もそこそこ適当に生きたい。

ねるまえばんぐみ

特に録っておきたいというわけでもなく録画したエネチケーの番組がある。日本の夜景とか、世界の市場とかそういう、夜中の3時過ぎにたらたら流してるたぐいの30分番組なんだけど、自分が録ったのは日本のローカル鉄道が走る風景を延々と流す『ローカル鉄道の旅』ってやつの『九州編』。一両編成のローカル電車が田んぼのなかをガタゴトぐおーんって走ってるの。運転席からとおぼしき映像あり、その真後ろの鉄ちゃんポジションから車外進行方向正面を望む映像あり、ちょっと見は観光バスみたいな車体が遠くを進んでいく風情たっぷりの映像ありで、これはその手の鉄道ファンの人には嬉しいんだろうなと思う。
俺がこの何の気なしに録った30分番組を繰り返し見てしまうのは、しかし、映像というよりむしろ音楽のせいなのだ。もっといってしまえば、レイラのせいなのだ。黄色い車体の島原鉄道の車両が大きく揺れながらカーブの向こう側から現れてくる映像とともに流れ出す『いとしのレイラ』のせいなのだ*1。キイロいローカル線が走り抜けるうまし国日本の田舎の風景に、「レイーラア〜 ユガッミオンマイニー!」っていうあの声とあの泣き叫ぶギターの音が重なるのですよ。確かになつかし洋楽ばっかり流れてんなこの番組、と思ったけどここでレイラ来ちゃうとは思いませんでしたねレイラ。もう印象が強烈すぎて見ている側に違和感をおぼえる余地さえ与えない。線路脇の墓石群、無数のこいのぼりがはためく海岸沿い、瓦屋根の住宅とビニールハウスが緑色の畑に混じる平野、レンゲ色に染まった春の田、どう見ても日本の風景なのに歌い手はレイラレイラ言うとる。ああ、これを初めて見て聴いたときの俺の衝撃をどう表現したらいいのかわからん。あえて逆の情景で表現してみると、アメリカの荒野の真ん中の一本道を駆け抜ける巨大なトラック、運転席には肩に派手なタトゥーの入った金髪ボサボサの巨体のおっさんがいて、でもカーステレオからは津軽じょんがら節が流れているみたいな、そんなかんじだ!組み合わせ的にはどう考えてもおかしいんだけどなぜか嫌いじゃないんだこの視聴覚体験!
というわけで、テレビにオフタイマーを設定して、これを寝る前に流しながら布団に入るのが最近の楽しみです。

*1:ちなみに島原鉄道の次の映像はJR豊肥本線蒸気機関車(多分今はもう走ってない)で、BGMは『ロコモーション』