せすにっき

日記。2019年1月にはてなダイアリーから引っ越しました。2024年もそこそこ適当に生きたい。

読み終えた

定家明月記私抄 (ちくま学芸文庫)

定家明月記私抄 (ちくま学芸文庫)

おもしろかったー。定家ってもっと超風流で、歌の世界にどっぷり浸っていて、世事なんてどこ吹く風で別荘で悠々と外の紅葉を眺めながら「あれー」とか「たもれー」とか言ってそうな人だとばかり思ってたんだけど、貴族としては高い地位にいるわけでもなくて、下っ端みたいな仕事で昼夜問わずにいろんなとこへバタバタ出かけたり、出世欲はすごくあって口ききを求めて奔走したり、あんまり頼りにならない主家にすねて反抗的になってみたり、除目のときに自分の願いがかなわなくてありったけの罵詈雑言を日記に書き付けたりと、現代人から見てもある意味とっても人間味のある人だったみたいだ。そんでもってとっても頑固。この解説本の著者には何度も「狷介」って書かれてるし。あーあ俺だまされてたー。でもよく考えてみたらなんだかんだいって歌だけ見てその人がぜんぶわかるわけないじゃんね。煌々と照らすうつくしきお月さまにもダークサイドがあるのさ!だからおもしろいんだろうな。世間とガチガチぶつかってもまれてクタクタになってブツブツ文句言って、それでも素敵な歌を詠んだり歌集を作ったりしちゃう。だから人間ってすごいしおもしろいんだと思う*1

*1:あー、でも周りの人からしたらけっこう付き合いにくい人ではあったんだろな。俺はぜんぜん関係ないからその事績を素直にすごいと思えるけど、もしも同時代に生きていてバトッたりしたら、コンチクショー!おめえの歌なんかたいしたことねーや!とか思うのかもしれん