せすにっき

日記。2019年1月にはてなダイアリーから引っ越しました。2024年もそこそこ適当に生きたい。

読み終えた

ウメハラ古事記を読み終えた。アイヌ語で解釈してみた部分とかもあるらしい。

古事記 (学研M文庫)

古事記 (学研M文庫)

古事記おもしろいな。わくわくどきどきせつない。あと、エロい要素がぽこぽこ出てくるのはなんでだ。昔の人のほうが性に関して語ることに対し敷居が低かったのだろうか。というかそういうものを「イヤーン」と遠ざける、という意識自体がなかったのか。それともそういうのを含めて命をつむぐ神聖な物語と受け止めていたのだろうか。いや、結構こっけいな描写も出てくるから、面白おかしさを交えて語り継がれた伝承が民の間に多く残っていて、それが採り入れられたってことなのかな。よくわからんです。
あとがきが非常に興味深かった。内容はことごとく梅原氏独特の自説の主張へと引っ張られていくようなかんじで個人的にはあまりこういう書き方は好きではないなと思ったのだが、古事記はブンガクである、と主張するくだりには引き込まれる。

古事記』の中には散文的な部分もあるけれど、要所要所に素晴らしい詩劇と思われる点がある。これは、古くから伝わる歌謡を利用してつくられたものであるけれど、この「原古事記」の制作者は、まことに優れた詩的感覚をもっていて、その詩歌をうまく配列して美事な詩劇をつくりだした。倭建命の話、軽王の話などはそのもっとも優れた部分であるが、何気ないところにもはなはだすぐれた文学的感受性がはたらいているように思われる。

これとは別に、歴史を書く、人を書くという作業について。あとがきの手前、「古事記に学ぶ」という章より。

何故なら、歴史はその時代に生きた人間を描かなくてはならない。文学とは何よりも人間を描くことである。歴史家に文学的才能が必要とされるのは当然であり、実際、第一級の歴史家はすぐれた人間観察者であり、そしてその人間観察の結果をすぐれた文章で描いた。