せすにっき

日記。2019年1月にはてなダイアリーから引っ越しました。2024年もそこそこ適当に生きたい。

読み終えた

川の深さは (講談社文庫)

川の深さは (講談社文庫)

結局この作家の本ばかり読んだ夏だった。ばかり、といっても、そう長くない通勤時間と昼休みにかいつまむようにしてページをめくったので、本漬けになっていたというわけではないし、そもそもデビューからまだ5年ほどしか経たない氏の著作の数が自分の手に余らないからこそ、読んでみる気になったのだった。
「川の深さは」「Twelve Y.O.」「亡国のイージス」「終戦のローレライ」これら4タイトル、文庫本で8冊のドラマたちは、すべてが細い糸や小さなパーツ、背景を共有し、つながっている。それは、たびたび力強く語られる日本という国のあり方への疑問であり、あるいは、ほとんどの物語で主人公をつとめる、夢も希望も失いかけた中年男性の熱い叫びであり、彼の心に火を点す重要な役どころをもあわせ持った、特殊な任務を帯びた若者の活躍であり、また、実はきわめて人間らしい情念から国を揺るがすような行動を起こす、単なる悪役と断じきれない敵の正体……いやもう、てんこもりすぎです。これ以上壮大になると自分の理解できるスケールを超えてしまいます。っていうか自分がすでに何を書いているのかよくわからん。
でもひとつだけ言えるのは、この人の小説って1つ読むだけじゃものすごく勿体無い、ってことです。