外で食べるステーキにあまり良い思い出がない。中学生のとき、親戚のおじさんに横浜の鉄板焼きの店に連れて行ってもらったことがあるけれど、なんかあれは確実に子供が来る場所じゃなかった。ムードに圧倒されてせっかくのお肉も味なんかしなかった。しかもそのあと一つ年下の従妹と一緒に、なんかボックス席にきらきらした衣装を着たおねいさんが来て接客してくれる店にまで連れて行かれて、さすがにこのおじさんおかしいんでは、と思った。ドン引きしている中学生の様子を見たお店のおねいさんに「あら、ビビッちゃったのね?」とか言われて返す言葉が見つからなかったのを覚えている。
大人になってしばらくしてから、家族で沖縄へ旅行に行った。ホテルから市街まで結構な距離があったのに、自分はそれを見誤って、ディナーの場所であるステーキ店に歩いて行けると主張した。結果、店にたどり着いたときにはみんなクタクタになっていた。疲労困憊で、目の前で焼かれるたくさんのお肉がぜんぜん食べられなかった。
いきなりステーキの経営がやばい、みたいな話をネットで見かけてそんなことをつらつら思い出していた。ここ10年くらい、旅先でも外出先でも食べきれずに残してしまうとめちゃくちゃ罪悪感が残るので、ステーキがどうとかいう以前に今は外食自体がおっくうになった。勝手がわかっている馴染みの店やチェーン店、食べる量を自分で調節しやすい回るお寿司は好き。ステーキも、家で食べる分には好き。フライパンで焼いて、味ぽんとバターを溶かして煮詰めたソースをかけて、クレソンと一緒に食べる。心置きなく残して、次の日に食べられる。