なるべく暑い思いをせずに川を見ようと思った。
本当はキンシオが以前訪れていた相模川の磯部頭首工を見たかった。でも、交通手段と駅からの距離を調べているうちに、今日みたいな日に行ったら俺は普通に暑さで倒れると思った。なのであきらめた。かといって近所の川じゃ物足りない。そうだ、小田急線で西へ向かおう、と思った。相模川が車内から見られる。
相模川を渡っておしまいというのもなんなのでそのまま電車に乗り続けた。田んぼが増えてくる。まだまだ青い葉が茂っているが稲穂はそろそろ黄金色を帯びている。渋沢を過ぎたあたりでいいかんじに線路と並行する川が見えた。うおーザッツ涼しげ。石がごろごろしているあの河原の日なたのとこはたぶん歩くとかなり暑いんだろうけど、電車から見ると超涼感。なにより緑が目に心地よい。今調べてみたらこの川は川音川というらしい。名前まで風流じゃないか。
で、その川音川が合流する酒匂川を電車は渡る。進行方向を大きく変えて南へ走る小田急線はしばらくの間、少し距離をおいて酒匂川と並走する。狩川も酒匂川の支流らしい。酒匂川でかい。いいな。やはり、でかい川はいい。
小田原を過ぎると早川に沿うようにして電車は進む。自分の乗っていた普通列車がガラガラだったので箱根も空いてるのかと思ったらとんでもなかった。強羅へ向かう登山電車のホームは結構な賑わいだった。乗客の8割方はお年寄りだった。元気だなあ。いや元気だからこういうところを歩けるんだよな。まあ、平日だしな。と思って湯本の改札を出たら今度は団体客らしき若者の集団がいてびっくりした。やたらでかいトランクを転がしてたが箱根に何泊するつもりなんだろ。合宿か?なんの?
しかし湯本じゃ標高も高くないので全然涼しくない。さっきの登山電車に乗って山の上のほうに行けばよかったのだけど後の祭りだ。とりあえず富士屋ホテルの手前まで歩いて早川の写真を撮ったはいいが、すぐに暑さにやられそうになる。
箱根というのは楽しみどころがいまいちよくわからない土地だ。近場でいつでも来られると思うからそういう認識になってしまうのかもしれないが、ここで干物を買う気にも、梅干しを買う気にもなれない。かっぱ天国は健在のようだが温泉という気分でもない。今日はあくまでも電車から川を見ることが目的だったのだ。なぜか有田芳生のサインが飾られている蕎麦屋に入り(ここの店員さんはみんなシャキシャキしていていいかんじだった)、ざるそばを食べてすぐ帰りの電車に乗った。帰りは眠ってしまったので川音川を見ることができなかった。