先日、久しぶりに赤い電車であの町へ出た。本当はよそで用事があったのだけれど、それは後の楽しみにしておいて、通過地点にあるこの町を通りすがりつつ、どんよりむっしりとした梅雨空の下を、傘でもさしてだらだら歩こうと思った。なのに当日になってみると、朝から死ぬほど晴れていた。家を出て三分歩いただけで汗だくになった。ひどい。
久しぶりの改札口を抜けてみると、相変わらずの変わりようだった。いつ行ってもどこかしらのビルで店が入れ替わっているのは、単に訪れる頻度が低いからというだけではないはずだ。だが今回、結構長いこと営業していた書店が390円ラーメンの店に変わっていたのは少し残念だった。カレー屋が出来ていた。ストリップ劇場は相変わらずだった。ラブホテルは、なんぞこれ。昔より随分料金が安くなってるんじゃないのか。こんなものまで値下がりするのか。
日が随分と高くなっているのにゴミの収集所は手付かずだった。そこにカラスの姿はなく、代わりに群がっているのは愛らしいスズメたちだった。残飯の詰まった半透明のビニール袋の上に着地して、つるつると足をすべらせていた。