テレビ東京の「美の巨人たち」を見てた。ベラスケスのこの絵、大好きなんだよ。嬉しい。不思議だよねえ。この人の絵って拡大してみるとすんごい無造作に絵の具を置いてるだけのように見えんの。なんだこれと思うようなただの白っぽいひと刷毛が、ちょっと離れると上等な衣服の艶や脂ぎった男の鼻の頭のてかりとなって、ピカーッとこっちに向かって来るんだよー。
絵描きで思い出したけど、これ読んだ。ベラスケスとはぜんぜん関係ないっす。
世界周航日本への旅 (1983年) (新異国叢書〈第2輯 2〉)
- 作者: ハイネ,中井晶夫
- 出版社/メーカー: 雄松堂出版
- 発売日: 1983/11
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この人はもともとドレスデンの宮廷劇場で働いてた人なのね。演じるほうじゃなくて、美術とかの裏方さん。絵の才能を見込まれて、背景とか描いてたみたい。それでその人がなんで黒船で日本に来航しちゃったのかというとね、この人ドレスデンで暴動が起きた時に反乱側に加わってて、その後アメリカに亡命したんだって。
当時はもう写真機は発明されてたけど、今ほど普及していたわけじゃなかったんだろうね。このハイネという人は絵描きとして黒船に乗り込んだ。だから今でいったらカメラマンとか記者っていう位置づけだったんじゃないかな。
で、この本の訳者あとがきか解説のところに書いてあったかな、元々舞台美術をやってた人だから、日本の風物を描いたスケッチがなんとなく演劇の一シーンみたいな色彩を帯びている、というような記述があってなるほど!と思った。
横浜上陸の絵。
幕末の横浜ってほんと面白いね。ちなみにこの人、ワーグナーの幼馴染の息子さんで、ワーグナーの日記にも出てくる。このからみで読んだんだけど、ワーグナーの日記、正確には日記じゃなくて回顧録なんだけど、超おもしろかったよ。俺が最近おっかけてるおっさんも出てくるし。全力でおすすめする。「人を笑わせるには文章が笑っていてはだめだ」みたいなことがこの前読んだ本多勝一の本に書いてあったけど、その原則をきっちり守っているじゃねえかワーグナーSUUGEEE!!と思った。全部通して読もうとすると大変なんだけど、じっくりとその状況を頭に思い浮かべながら読むと、笑いの波がじわじわ来る、っていう箇所があちこちにある。これユーモアのつもりで書いてるんじゃなかったら超泣けるんだけど、でもなんか可笑しい。という、喜劇の基本を軽々と押さえているワーグナーは神。
- 作者: リヒャルトヴァーグナー,山田ゆり
- 出版社/メーカー: 勁草書房
- 発売日: 1986/10
- メディア: 単行本
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