親知らずがなんとなくムズムズしたので歯医者に行ったらまた治療に通う羽目になってしまった。不思議な威力のへんな歯ブラシを買ったときにはもう手遅れだったとみえる。
それはそうと、前に診てもらったおねいさんじゃなくて、新しくやってきたおにいさんが担当になってしまったので残念だ。しかもその男性はメガネかけてなんとなく長めの髪型で柔和に微笑んでいて、どうしてもヨン様の人を思い出してしまう。
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有能な歯科医に対し、しかも治療の技量とは関係ない外見というプロパティに関して不満を抱き、あまつさえ自らの落ち着かなさをそのせいにしてしまうというのは、俺がまだまだ未熟者である証なのであろうか。と俺は反省して、前向きな解決法を考えた。すると、目を閉じている間じゅうずっと、この先生がどんな髪型をしたらヨン様に見えなくなるだろうかと自分で想像することで気を紛らわす、という大変有効な手段が俺の頭をヒットしたのでさっそく実行に移した。頭の中で勝手にこの先生の髪型を変換するのだ。ヨン様以外のヘアーに。さすれば元祖韓流俳優が己の口の中を覗き込んでいるという落ち着かない妄想はたちまち雲散霧消するであろう。
だがよりによって一番最初に頭に浮かんだのがティエリア様の髪型だったので、いくらなんでも最初にティエリア様ですか?普通に若手アイドルとか芸能人とかのヘアースタイルは出てきませんか?と俺は自分で自分がおかしくなってしまい、笑いをこらえるのにとても苦労した。口閉じられないし。死ぬかと思った。
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