せすにっき

日記。2019年1月にはてなダイアリーから引っ越しました。2024年もそこそこ適当に生きたい。

晩飯

  • 串焼き@塩(タン、カシラ、ハツ、バラ、ししとう
  • 冷やしトマト
  • ガツ刺
  • 生ビール

初めて入った串焼きの店。ビールがうまかった。っていうか肉がおいしくないよねこの店。でもビールがうまいの。串焼きの店で串焼きを食べずにビールと冷奴とから揚げと枝豆しか注文しなかったらやっぱ嫌がられるよね。だけどビールがうまいんだよね。ああどうしよう。やっぱりビールうまかった。
前売り券を買っていたのを思いだして、美術館へ会期終了間際の特別展を観に行った。この前薬師寺展に行ったときの数十分待ちには及ばないが、入館待ちの行列。うんざり。俺はガラガラの美術館は大好きなのでやっぱりこういう話題になっている展示はあまり観に行かないのが心の平安のためだと思う。人を見に来たんじゃねーのよ。ああ。
で、源氏物語の1000年、とかいう特別展だったのだけど、なんか物語の世界を視覚化した、要するにイラストレーション作品がやたら多かったのね。屏風絵とか掛け軸みたいのとか、紫式部肖像画とか、あとは表面にすばらしい細工が施された絵巻箱とか。なんだよ絵とか美術品ばっかかよ!と腹を立てかけたのだがよく考えたらここは美術館なのであたりまえなのだったよ。
で、人の多さにもう半ば見るのを諦めて足を速めたところに、ふと見覚えのある絵が目に入った。上村松園の「焔」の、下絵が展示されてた。

俺は絵のことなんかとんと分からないけれどもこの人の描く絵は大好きで、ネット上で実物よりもとてもとても小さな画像を見るだけでもなんてきれいなんだろうと夢心地になってしまう。静かに照り輝く満月のように白い肌、無駄なく不足なく描かれた着物のライン、周りの空気に溶け入ってしまいそうな繊細な髪の毛。
東京国立博物館のサイトの解説の通り、彼女の生み出したそうした美人画群のなかにあって「焔」という作品はやや異色だ。なんだか般若みたいだもんな。でもきれいでしょ。よくも悪くも「作品」っていうかんじがする。
ところが源氏物語展で見たこれの下絵はものすごかった。色も付いてないし輪郭線も、近いところを何本も引き直したりして、素人の俺にもわかるくらい試行錯誤しているさまがうかがえるのだけれども、それがかえって、彩色された完成版の絵よりも迫力を感じさせるのだ。俺が「きれいだなあ」という貧相な言葉でしか表現できないその絵の下、いわば絵の骨格にはこんな生々しい肉が絡み付いていたのだな。この生々しさをすべて俺の考えるところの「きれい」で塗り尽くしたものが完成品であるのだろうか。俺はいったい今までこの絵の、あるいはこの画家の何を素晴らしいと感じてきたのか、俺はこの画家が描いたものをまったく理解できていないのではないかとちょっとショックを受けた。