せすにっき

日記。2019年1月にはてなダイアリーから引っ越しました。2024年もそこそこ適当に生きたい。

読んでる

女歌の系譜 (朝日選書)

女歌の系譜 (朝日選書)

「鬼の研究」の人の本。額田王坂上郎女など古代の歌人にはじまり、鎌倉末期あたりまでの女性の生き方歌い方を考察。みたいな本。額田王については今まで読んだ本とはまた違う見方を教えられた気がする。確かに万葉集に残るいくつかの歌そのものについては、公的あるいは政治的とよべる立場で歌われたものが多い。かつて彼女自身が愛した大海人の挙動をドラマチックに歌い込み、本人からのパッションパッションな返歌も合わせて人々の記憶に残っただろう「あかねさす」の歌でさえ、宴の場で場を盛り上げるために披露されたという見方が今では定説に近くなっている。そこに禁じられた恋の風景のようなものを歌ってはいても、後世の歌々に多く見られるような、心の動きをさらけ出して想う相手に伝えることを目的としたものではないのだ。そのことばのつらなりは遠いときを越えてなお読み手聞き手の脳裏に鮮やかな光景を描き出すというのに、彼女の真意は、著者の言葉をかりると「古代の霧」におおわれたままなのだ。