せすにっき

日記。2019年1月にはてなダイアリーから引っ越しました。2024年もそこそこ適当に生きたい。

読んでる

万葉集と古代史 (歴史文化ライブラリー)

万葉集と古代史 (歴史文化ライブラリー)

日本の文学というものの発生を考えるという点では西郷信綱の「日本古代文学史」(asin:4006001525)の万葉集のくだりのほうが読み応えがあったかもと思うのだけどそもそもジャンルが違うな。俺は古代の文学に興味があるのか古代史そのものに興味があるのか最近なんだかよくわからなくなってきた。でもほんとのところはガクモン的にはどういう位置づけであろうと書いた人の文章そのものにひたすら感心したいだけなのだ。今まで読んだガクモンチックな本の中で、直木氏の文章は俺的にはウメハラ氏のような雰囲気に近いものを感じる。なんていうか、史実とか史料とか論の是非とかとは関係ないところにおもしろさがあるというか、こんな書き方は俺の何百倍も知識のあるえらい学者の人に対して失礼なのかもしれないけれど、そういうものたちを超えて、ひとつの物語が書ける才能の持ち主なんだな、と思う。逆にとても詳細な検討を重ねたり正しいことを書いているに違いない人の論説なのに、ちっとも心に響いてこない、なんてときもあって、こういう文章は悲しいことにいくら役に立つ知識が満載されていても俺の記憶にはなかなか残らないのだ。
額田王についてはこの前読んだ「額田王」(asin:4642052429)にある文章が著者の最新の見解なのだろう。鏡王女との同一人物説は、まだこの本には書かれていない。大津皇子に対する川島皇子の「裏切り」については、別の本で誰かが詳しく書いていたなあ、なんかすごく真に迫ってくるような文章だったなあと思ったら、これもやっぱり直木氏だった。(asin:4642063358