せすにっき

日記。2019年1月にはてなダイアリーから引っ越しました。2024年もそこそこ適当に生きたい。

古墳の本を見ていると、出土した銅鏡についての記述がいろいろある。「三角縁神獣鏡」というのは断面図でみると縁の部分が三角になっていて、内側には玄武とか朱雀とかの図が描かれている。まさに名前のまんまだ。これで縁が平らならば平縁神獣鏡。わかりやすいけど漢字が5個も6個も並んでいる時点で摩訶不思議な呪術めいた名称であるかのようにおそれおののいている自分がいる。情けなし。
自分が面白いなと思ったのは方格規矩鏡というもので、ほうかくきくきょうと読む。とうきょうとっきょきょかきょきゅ。

鏡の中央部に四角形、それを取り巻いてちょうどアルファベットのT、L、Vの文字に似た文様が刻まれていて、それも規則正しく四方八方に配置されている。中国生まれの鏡だが、どうやらこれらの図形には天文学的な意味合いがあるらしい。しかしなにより見た目がかっこいい。TとVだけじゃないところがまたいい。もちろんTとVだけの整然とした模様もいいけど、L字形という左右非対称なモチーフをこういうふうに配したら、なんか、「┏ → ┏ → ┏ → ┏ →」って、動きというか流れみたいなのが加わってきてリズミカルでステキだよな。めぐりめぐる。4つのもので表されることってたくさんあるじゃないですか。春夏秋冬、東西南北、それからえーと、なんだ?こんだけか俺の頭に浮かぶのは。でも春夏秋冬は一年という時を構成するし(少なくとも日本では)、東西南北はひろい世界という空間のものさしとして機能してるじゃないですか。それらに対して古代の人たちが抱いたイメージが、この円い鏡の文様に集約されているのだなあ、この鏡は世界そのものなのだなあと難しく考えることもなく素直に思えるのです。時間と空間がひとところで模様になってるんだよ。かっこいいなあ。
俺がもしこの鏡を手にしたら、だだっぴろい草原とか、誰も居ない砂丘の真ん中に立って、太陽がその日一番の高みにくるときに、この鏡の鏡面をお日さまに向けて、「おてんとさま見てるかあーーー!!ここは地上界だ!くらえビカーーーッ」とか叫んでみたい。バカですか?ええ、バカです。
たぶれありきながれつきたるかねがたのかがみなのるにみなわらひける