せすにっき

日記。2019年1月にはてなダイアリーから引っ越しました。2024年もそこそこ適当に生きたい。

月の舟

短い夢をみて目を覚ました。夢の中身は冷蔵庫から晩飯の残りの寿司を出してきて食ろうているあいだに頭から溶け出してしまった。
部屋の空気を入れ替えようとカーテンを開けてみると、遠くの一角に周囲の住宅の明かりとは違う色のなにかが輝いている。一瞬、山の上の寺社の屋根の部分がライトアップされてでもいるのかと思ったのだが、あれはそもそもそんなご立派な建造物でもない。しかしあの宝船の船体のような不思議な形の光はいったいなんだろう、と目を釘付けにしているうちに、のぼってきたばかりの月であることに気がついた。
あかく光る下弦の月
視界の手前、自分が立つその空間のごく近くの地上を時折車が通っていく。しかし人がたてる音はそのくらいしか聞こえてこず、はるか彼方の光る月の舟は真空のような静けさをたたえてゆっくりと高さをましていった。真空と車の走行音と。その残りの空間を虫の音がしんしんと満たしている。
キーを叩きながらもう一度月の出の方角を見ると、舟は既に厚い雲の中にその身を隠しつつあり、船底のほんの一部分を見せるのみとなっていた。やがてその細い線も闇へとすっとかき消えた。
まるで地上を飛び立っていったかのようだった。