ふらふら買い物に出かけたら秋刀魚がまた安かったので塩焼きと刺身にしようと思って買って帰ったのだが、ふと思い立って秋刀魚ぎょうざを握って焼いて淡麗グリーンラベルを2本空けて極楽気分で昼寝した。
秋刀魚ぎょうざの作り方
1) 秋刀魚を3枚におろして身を細かく叩き、青じそのみじん切りとおろしたしょうがと味噌と酒少々を加えてよく練る。
2) 1を餃子の皮で包んで焼く
要するに、秋刀魚のなめろうを餃子の具にしただけである。普通の肉餃子や野菜餃子に比べると、焼くと少々もさっとするような感じがして、ものすごく好物というわけではない。しかし秋だな、という気分になれる。
ところで魚の食味に対する誉め言葉として、脂がたっぷりのって美味い、というのがある。秋刀魚も一般的には脂ののったものが美味とされる。七輪で焼くと途端に滴り落ちる脂が網から下へぼたぼた。ジュージューと煙が立ち、そのうち秋刀魚本体がボッと火を出したりして、庭で焼き秋刀魚の番を言いつけられていた幼い自分は炎におびえてべそをかき、母親に笑われた。うーむ思い出すなあ。
その点、今日の秋刀魚は包丁で頭を落とし、断面から背骨の上側に沿って包丁をすすめていくその過程ですでに美味が約束されていた。まな板の上をじわじわと染めていく秋刀魚の血には切られた身から出た脂がたっぷりと混ざり、色を除けばちょうど昔のツナ缶の缶汁のようにぎっとぎとなのだった。あぶら!あぶら!
へんな夢みた。
ルームメイトと外へ食事に出ることになった。ルームメイトといってもひと月に一度くらいしか帰宅しない人なので、一緒に食事なんかしたことがなかった。というか存在を忘れていた。
住んでいる部屋の客間の窓は南に面して大きく、外には高架の自動車道路と隣のビルの屋上が見えた。が、道路を車が通っている気配はない。まだ雨は降り出していないが、大きな台風が迫っているのだ。
さてと食事に出かけようとすると客がひと組やってきた。その夫婦は遠方からやってきてちょうどおなかをすかせていたので、一緒に食事をすることになった。台風接近中だが、行くことになっていた近所のステーキハウスは営業しており、予約した者ですが大丈夫ですか、と人数の変更を頼むと気持ちよく受けてくれた。
灰色の低い雲が風に飛ばされ、少しの間だけ真っ青な空が覗いた。隣のビルの屋上にはなぜかスプリンクラーが多数設置されていて、急に誤作動してキラキラと輝く水滴を無数に空へと舞い上げており、まるで噴水のようで美しかった。これと同じものがそのうち空から落ちてくるのだな、と思うと楽しくせつなかった。水は美しいと思った。
で、それでは出かけましょうというところで目が覚めた。ステーキ食えんかった。