- 作者: 色川武大
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/04/12
- メディア: 文庫
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俺から見たらごはんを一度に3杯食える人はそれだけでSUUUGEEEEEEEEE!もんのすごいよく食べる食べる。若い時分には朝からステーキ、とか、ふりかけさえあればメシがどんどこいける、とか喰いすぎにもほどがあるとおもうのだが案の定、主治医にも痩せろと言われていたのに痩せられず、後ろめたくて顔を出せなくなる。
筆者自身は謙遜するのだが、やっぱり人間、良いもの(高価なものとは限らない)を食べるとその経験は確実に舌を肥やすと思う。それに「あー、あんなもん特にうまくもないだろ」という台詞は、食べたことのある者が言うのとそうでないのとでは、意味がまったく違うのだよ哀しいことに。ああああ高級料亭の超凝ってる料理食ってみてええええええええええええええ。
鱈の旬の話、寒が明けたらもう食べるなと魚屋に言われるくだりなど、真夏に湯豆腐が食べたくなってスーパーで塩鱈を買ったりする季節感のない俺には耳が痛いが、しかし押し付けがましくはない。筆者も夫人が時期外れの、というか解凍もののそれをスーパーで買ってくるとき、美味くないから食わない、とは決して書かない。ただ懇意にしてくれる魚屋との「男の約束」であるから口にしない、という按配である。
読み終わってから作家の略歴に目を通す。ああ、60で亡くなっているのか。でもこれだけ食べたらもう一生分よりずいぶん余分に胃袋に入っただろうなあ、ある意味天寿だなと納得した。
浅草の梅むらの豆かんが食べてみたくなった。