せすにっき

日記。2019年1月にはてなダイアリーから引っ越しました。2024年もそこそこ適当に生きたい。

続き書くけどシンクロの予感で鬱

そうなるともう絶望という二文字で安直に表される気分に僕は落ち込むのだが、そんなことは世界にとってなんの影響を及ぼすものではなく、雨はやはり降り続けているので僕の歩みはだんだんと遅くなる。
しかたなく僕は遠い日の情景を思い出す。にじんだ夜の風景よりも、たわけた夢のようなシーンを見ていた方がもしかしたらまだましかもしれず、その方が僕は遠くまで行けるかもしれないと思い直したからだった。
あのとき観た街の眺めはそれは素晴らしかった。古城の見晴らし台は僕のためにあり、空も流れる雲もあのとき確かに僕のものだった。その隣に居たのは
 
ぽっかりと白い影のようなものがそこに浮かんでいた。
誰かが居たはずなのだ。僕の隣に。
誰だったのだろう。思い出せずに白いかたちがもやをなしているのを見ている。
冷たいものがひと筋こめかみを伝って顎へ流れ、我に帰ると目の前は闇だ。
ポケットの中まで雨水で濡らされているようだ。両手を外気にさらす。
「雨粒が目に入っただけだよ」
また声が聞こえる。笑いを含んだ君の声だ。だが、君とは、誰のことだろう。
目をつぶる。ぽっかり浮かんだ白い影に、笑った形の唇だけが浮かんでいる。
その唇の奥には細く尖った舌が潜んでいて、僕はそれを含めて を
 
どうしたというのだろう?
 を、 したような気がする。春も秋も、昼も も、何度も何度も。でも、何をしたのか思い出せない。気がするって、 って何のことだろう。
確か古城を訪れた日、あのあと日差しを浴びながらゆるい を下り、ベンチに腰掛けて路面電車を待った。
 は「    」とまた笑った。
どうして笑ったのだろう。
「あのさ、 、    ?」
誰だか思い出せないのならもういい。何を訊かれたのだろう。差し伸べられた手は
 
どんな手触りだったのだろう。

 って何だろう。

自分の腕の先にもついている、それが だ。
無い。
驚いて目を開けた。そうだ、瞼を閉じていたのだった。自分の正面に見えるのは、差し上げられた上着の袖先からのぞく、青ざめた自分の体の一部だ。
これが であるはずなのだが、しかし僕はこれをもはや と認識できない。
認識できないのだ。
雨が、きっと僕の体の中を流れる雨がみんなみんな溶かしていくからなのだ。
 
いつの間にか立ち止まっていた。
自分をのろのろと運んでいた、この二つの筒の中にあるはずの……ええとそうだ、 だ。これも
無い。
僕はいまさらながら子供じみた恐怖を覚えてまた昔のことを思い出そうとする。その瞬間だけ四肢の先に感覚が戻ってきたような気がした。
 が、 があふれんばかりに咲いている  で、 の   を   てくれたのだが、  
     そのとき   ほんとにきれいな   色

……
……
だめだ。
 
こういうときに人はどんなしぐさをするものだったろうか。
なにとはなしに、たぶんこうするのだろう、というかっこうをしたが、そのときぼくの にふれたはずの……そう、かお。
おもいだしたぞ、かお。
けれどもいくら でさわっても、  がそこにない。
ない。

このつめたい は の にしみいって、やがて をながれる にすこしずつまざりながれていく。 の の がきゅうにぼんやりとにじみだし、はっとそのことにきづくがもうおそい。 はない。ある    にすててきた。 にはいらないものだと。

 
なにがなかったのだ?おもいだせない。
  がないとどうなる?
なにもみ なくなるのか?
なにも  なく    ?
「あまつぶが にはいっただけだよ」
わかった。
 はそんなことをいいながら、なみだをながしているのだ。
だれのために?
だれのためにだ?
 
そのしゅんかん、なにかがたおれたような がして
でもその  は  には   ない
   ない。