せすにっき

日記。2019年1月にはてなダイアリーから引っ越しました。2022年も適当に生きたい。

溶解

雨が降っている。その中を濡れて歩くと左の袖からどんどん重くなっていく。風がある。
失ったもののことを考えるほど身に余裕はない。ないのだが、考えるほどの未来もあるようには思えない。さらに言うと現在がどうなっているのかについては、ちらと想像するだけで鳥肌が立つ。傘は無い。
この冷たい雨は僕の体に染み入って、やがて皮下を流れる血に少しずつ混ざり流れていく。目の前の景色が急にぼんやりと滲み出し、はっとそのことに気づくがもう遅い。傘は無い。ある晴れた日に捨ててきた。僕にはいらないものだと。
目の前の信号機が二重三重の輪郭をもって赤を灯している。ぼやけたままの視界に愕然とするが君はきっと笑うだろう。「雨粒が目に入っただけだよ」
だが僕はもうどんどんと薄まっていく自分の血の色しか頭に無くなり、そのうちこの冷えた手先も感覚を失ったブーツの中の両足も既に雨に冒されているのだと確信する。