胸糞いいんだか悪いんだかわからない夢を時々見る。
さっき見た夢もそのひとつ。
飛行機事故の現場を見て、そして人間の死体に強く惹かれ興味を持つようになるという設定だった。墜落現場は自分が通っていた学校で、地上で巻き込まれ犠牲になった生徒たちはみんな自分の知っている人間だったが、みんな自分が嫌いな人間だった。それが一瞬にしてもの言わぬ物体へと変わってしまったのだ。
死体はみな比較的きれいだった。彼らはもう自分に対して何もしない。だまって白目をむいて横たわってくれているだけで俺の気持ちが晴れていった。腸がはみ出していてもかまわなかった。
死んでしまった人間はみな俺に優しいのだ。
そう気づいた俺は世界中の人間をみんな死体にしようと決意するわけなんだが、そこからがアホが見る夢らしくおかしな方へ外れてゆくのが救いだ。一度にたくさんの人を死体にするいい方法が思いつかず、「そうだ、俺が飛行機になって墜ちればいいんだ!」と授業中に閃いて5階の窓から飛び降りて自分ひとりで死ぬ。地面に到達するまでそのヘンテコな考えに気づかないのだ。こういう夢からさめると、自分がどっち側の人間なのかわからなくなる。
校舎の窓枠に足をかけながら見上げた空はとてもきれいだった。