せすにっき

日記。2019年1月にはてなダイアリーから引っ越しました。2024年もそこそこ適当に生きたい。

四本目

ほんっとに風景描写が綺麗だ。ため息が出そうだ。確かに予告編の「映像叙事詩」という表現が正解と思う。さっき見た「人狼」は背景から浮き立つような人物の塗りを美しいと思ったけれど、こっちは人物を抱き込み圧倒しかねない背景の細やかさ・力強さに、どうしても目を奪われてしまう。
ストーリーは、せつない系青春ラブストーリーにファンタジーをまぶしてあるんだなー、てなかんじで、まあそう難しく考えこむことなく見られた。今回のヒロインは、眠り姫となってしまったごく普通の少女だ。彼女は中3の夏休みに突如として、眠り続ける病におかされてしまう。実は、彼女は眠ることによって世界の存立を支え続ける、ある種の人柱のような、眠り姫なのだった。彼女にとってその夢の時間は孤独そのもの、世界に捨てられたような、世界を無くしたような、そんな彼女が眠りから覚めたなら、現存する世界はよくわからない並行宇宙というものに飲み込まれて滅びてしまうのだ。
だから、かけがえのない夏を彼女と過ごした主人公の少年二人が思い出の場所で再会して「約束の場所へ行くんだ、彼女を目覚めさせるんだ」「お前は、そんなことのためにここへ戻ってきたのか。彼女を救うのか、世界を救うのか」と対立する場面ではかなりグッときていたのに、その後なぜか「彼女を救う=世界を救う」という筋書きへと。流れが反転したように感じられ、そこだけは納得がいかなかった。だって、実行する側にとって都合よすぎる展開じゃん。
でもまあ、眠り姫(の意識)をずっと閉じ込めていた塔から、王子様はお姫様を助け出して目覚めさせるのでした、というおとぎ話の定番筋書きに沿うのならばこの小さな転換もごく自然なものなのだろう、と無理矢理納得した。塔は木っ端微塵に爆破されちゃうし。きっと悪い魔法使いがあの中にいて、塔と一緒に吹き飛んで死んでしまったのに違いない。めでたしめでたし。
目覚めた後で彼女が流す涙がよかです。長い間行きたいと待ち焦がれていた約束の場所は、約束が果たされると同時になくなってしまうんです。