築地場外で寿司。着いた時間が悪く場内で行きたかった店は軒並み10m以上の行列。諦めた。
玉子(生海苔入り)、ヒラメ(岩塩)、戻り鰹、ぼたん海老、イカ(海塩)、鰆、雲丹、穴子、大トロ、巻き物。この店、塩で食べるネタや軍艦・巻き物以外は全部煮切り醤油が塗ってある。これは人により好き嫌いが分かれると思う。自分はあんまり気にしない。気にしないけれども逆に素晴らしい心遣いだ、とも思えない。食に関してもう少し繊細な感覚を持ちたい。いやそうすると日々の粗食にあっというまに気が狂うような予感がする。人間の知覚というのは実にうまくできているものだ。
ぼたん海老くらいまではうまいうまいと頬張っていたのに、好き嫌いの多い母親が「これ食べて」「これいらない」とこちらに寄越すものをこなしているうちに満腹ラインをはるかにオーバー。戻り鰹、ぼたん海老、イカ、雲丹、穴子の5種類を2カンずつ食べ、代わりに母親へ託したのは巻き物2切れのみ。朝の10時に朝食を済ませたばかりの身には、いくら美味くても1.5人前の握りはきつかった。母親と築地へ行くといつもこうだ。美味いものは適量食べるから美味いのであって、人の分まで無理矢理胃に押し込んだものを美味いと感じられるはずがないのだ。
注文したときのテンションの高さは勘定のときにはもう最低に落ち込んでいる。今この瞬間に誰かが自分の腹を拳で殴ったならば、自分は間違いなく全力で路上にリバスれる。もう寿司は当分見たくない。